GAUDIA―造形と映像の魔術師 シュヴァンクマイエル 幻想の古都プラハから
2005年10月12日 読書
いつもどおり本屋を彷徨ってたら、この本が眼に飛び込んできた。ここのところずっと高い本を衝動買いするのは自分に堅く禁じていたのだが、召喚されてしまったものは仕方がない、素直にレジに持っていった。
GAUDIA(絵画、オブジェ、スケッチ、コラージュ、映画の展覧会)というだけあって、シュヴァンクマイエル夫妻の作品が満載なのも嬉しいが、それに添えてあるヤンとエヴァの言葉がまたすばらしい。夢について、人形について、霊媒について・・・。解説陣の文章も良いし、かなり満足度高し。シュヴァンクマイエル好きなら間違いなく楽しめると思う。
さて、また夢と魔術の世界に浸るとしよう。
GAUDIA(絵画、オブジェ、スケッチ、コラージュ、映画の展覧会)というだけあって、シュヴァンクマイエル夫妻の作品が満載なのも嬉しいが、それに添えてあるヤンとエヴァの言葉がまたすばらしい。夢について、人形について、霊媒について・・・。解説陣の文章も良いし、かなり満足度高し。シュヴァンクマイエル好きなら間違いなく楽しめると思う。
さて、また夢と魔術の世界に浸るとしよう。
コメントをみる |

愛と癒しのコミュニオン
2005年10月10日 読書
この前、同じ著者の『心の対話者』を読んで、思うところあってこっちも読んでみた。なるほど、この本を読んで人生が変わる人も多いのではないか、そう思わせる内容の本であった。
前半は、『心の対話者』と同様、アクティブリスニングについて言及される。ここに書かれている技法的なことは、わしも無意識のうちにそうしてるなと思うことが多いのだが、テクニックとしてきちんと表明されると、なんだか普段の会話でもカウンセリングしてやってるって感じがしてヤなもんですな。まあ、わしは人の欲望をかき回すだけで癒したりはしないけどさ。
後半は、すこしスピリッチュアルな方面に踏み込んでいく。人と人とが根っこの部分で繋がってるってのは、トランスパーソナル心理学の世界と共通しているし、この本で言われるところの「神」ってのはちょうどウォルシュが『神との対話』で書いたのと同様の神である。ここらへんになると、トンデモの世界の匂いを醸し出す場合があるが、本書は非常にうまくそこらへんを避けて通っている。
正直に言うと、わしはこういったスピリッチュアルな世界や癒しの世界からは距離をとっておきたい人間であるし、まだまだ自分の欲望と向き合ってどろどろの世界に浸っていたい。この手の本にはわしの拒否反応を思い切り引き出してくれるのも多いのだが、この本はきわめてまともなので素直にお勧めします。
前半は、『心の対話者』と同様、アクティブリスニングについて言及される。ここに書かれている技法的なことは、わしも無意識のうちにそうしてるなと思うことが多いのだが、テクニックとしてきちんと表明されると、なんだか普段の会話でもカウンセリングしてやってるって感じがしてヤなもんですな。まあ、わしは人の欲望をかき回すだけで癒したりはしないけどさ。
後半は、すこしスピリッチュアルな方面に踏み込んでいく。人と人とが根っこの部分で繋がってるってのは、トランスパーソナル心理学の世界と共通しているし、この本で言われるところの「神」ってのはちょうどウォルシュが『神との対話』で書いたのと同様の神である。ここらへんになると、トンデモの世界の匂いを醸し出す場合があるが、本書は非常にうまくそこらへんを避けて通っている。
正直に言うと、わしはこういったスピリッチュアルな世界や癒しの世界からは距離をとっておきたい人間であるし、まだまだ自分の欲望と向き合ってどろどろの世界に浸っていたい。この手の本にはわしの拒否反応を思い切り引き出してくれるのも多いのだが、この本はきわめてまともなので素直にお勧めします。
コメントをみる |

めまいってのは、ほとんどが生活習慣病である。規則正しい生活をして、よく寝て、ストレスをためないようにしましょう。ってのが著者の主張でいいのかな?たぶんいいと思います。
その他、いろいろなめまいについて勉強になりました。
これ以上感想を書きようがありません。
その他、いろいろなめまいについて勉強になりました。
これ以上感想を書きようがありません。
コメントをみる |

長寿世界一を誇り続ける日本であるが、本当にその医療現場は優秀で医療制度は優れているのか?本書は第一部において「機会の平等」と「結果の平等」の二つの観点から日本の医療制度の矛盾を明らかにし、第二部において「よい医療(制度)」を実現するために、「一人ひとりの努力で出来ること」「為政者に任せないといけないこと」にわけて解説していく。
第一部は、日本の医療の矛盾点がいろいろな角度から指摘されていて面白い。データーもかなり深く追求しているように見受けられる。ただし、そのほとんどは独自調査であるので、著者の主張は納得しつつも留保の状態にしておくしかない。今後、同じような本を読んだときに比較してみることにする。
第二部において、第一部で指摘された矛盾を解決するための処方箋が与えられるのかなと思い読み進んでいくと、なぜか『家庭の医学』でも読んでるかのような、病気の症状の解説が総花的に展開されていく。たしかに(家庭の医学を読むのと同じように)参考にはなるんだけどなんなんだ。こういう症状のときはこれを疑ってこういう医者に行きなさいとか、名医を探す方法はこうとか書いてるのは、「一人ひとりの努力で出来ること」ってのの内容なんだろうけど、なんだかピントがずれてないか?この部分だけごっそり余分な気がするんだけどな(たしかに読むほうにとっては参考にはなるから無駄ではないけどさ)。
第一部は、日本の医療の矛盾点がいろいろな角度から指摘されていて面白い。データーもかなり深く追求しているように見受けられる。ただし、そのほとんどは独自調査であるので、著者の主張は納得しつつも留保の状態にしておくしかない。今後、同じような本を読んだときに比較してみることにする。
第二部において、第一部で指摘された矛盾を解決するための処方箋が与えられるのかなと思い読み進んでいくと、なぜか『家庭の医学』でも読んでるかのような、病気の症状の解説が総花的に展開されていく。たしかに(家庭の医学を読むのと同じように)参考にはなるんだけどなんなんだ。こういう症状のときはこれを疑ってこういう医者に行きなさいとか、名医を探す方法はこうとか書いてるのは、「一人ひとりの努力で出来ること」ってのの内容なんだろうけど、なんだかピントがずれてないか?この部分だけごっそり余分な気がするんだけどな(たしかに読むほうにとっては参考にはなるから無駄ではないけどさ)。
コメントをみる |

夜回り先生 1 (1)
2005年10月1日 読書
原作の『夜回り先生』は、ずいぶん前に本屋で立ち読みしていた。読んでみて、正直、自分のなかでどう解釈していいのかとても戸惑った。彼の行動は、感動的ではあるが完全に常軌を逸している。
しかし、プロ教師の会の諏訪哲二が著書の中で彼について言及している文章を読んで得心がいった。
【誤解を恐れずに言えば、これはすごい教師の物語ではない。ありうべき教師の煮詰められた姿が水谷氏にあるのではない。水谷氏は職業から「夜回り先生」と呼ばれているが、氏の真の姿は街に現われた聖者なのであり、「神」なき「神」の代理人である。】
そう、完全に私を捨て去ってしまったように見えるその虚無を身にまとった彼には「聖者」という呼び方こそがふさわしいのではないか。(蛇足であるが、これは水谷氏を神のような人として崇めているのではないので、念のため申し添えておく。)
そんな原作の漫画化である。わしは書籍として既に原作のある漫画っての読まないし(『バカボンド』除く)ましてや買ったりはしないんだが、これは画が土田世紀なので買った。この原作を描くのに彼ほどの適任者はいないだろう。実際に読んでみて、素晴らしいの一言。もはや、「実話を基にしたフィクション」ではあるだろうが、水谷氏の虚無の貌を描ききった筆力には脱帽する。
特に、水谷氏がまさに修羅の聖職者としての道に入っていくさまを描いた、第0夜「ブランコ」は傑作。
最後に、この話だけは絶対にテレビドラマ化しないで欲しい、お願い。
しかし、プロ教師の会の諏訪哲二が著書の中で彼について言及している文章を読んで得心がいった。
【誤解を恐れずに言えば、これはすごい教師の物語ではない。ありうべき教師の煮詰められた姿が水谷氏にあるのではない。水谷氏は職業から「夜回り先生」と呼ばれているが、氏の真の姿は街に現われた聖者なのであり、「神」なき「神」の代理人である。】
そう、完全に私を捨て去ってしまったように見えるその虚無を身にまとった彼には「聖者」という呼び方こそがふさわしいのではないか。(蛇足であるが、これは水谷氏を神のような人として崇めているのではないので、念のため申し添えておく。)
そんな原作の漫画化である。わしは書籍として既に原作のある漫画っての読まないし(『バカボンド』除く)ましてや買ったりはしないんだが、これは画が土田世紀なので買った。この原作を描くのに彼ほどの適任者はいないだろう。実際に読んでみて、素晴らしいの一言。もはや、「実話を基にしたフィクション」ではあるだろうが、水谷氏の虚無の貌を描ききった筆力には脱帽する。
特に、水谷氏がまさに修羅の聖職者としての道に入っていくさまを描いた、第0夜「ブランコ」は傑作。
最後に、この話だけは絶対にテレビドラマ化しないで欲しい、お願い。
コメントをみる |

売れっ子の香山リカ&岩波だからってわけでもないだろうが、ずいぶん売れてるような感じがする。行きつけの本屋では入荷即売り切れたみたいで、何店か回って手に入れた。内容を確かめたかっただけで買う気はなかったんだけど、そこでも一冊しか残ってなかったから・・・。
内容は30のコラムというか、最近のいろいろな世間の風潮に著者が考察をくわえるというもの。文章は平易で1テーマ6〜7ページなので楽に読める。
全体的に斬新な切り口というのは無いのであるが、わしからみてきわめて常識的なごくごくごもっともな論理が展開される。いろんなところから話を(○○さんが××という著書でこういっているというふうに)引用しているのでわし自身の読書ガイドとしても有用でした。
しかし、一番気になるのは、この本の内容について「常識的」と感じる人がどれくらいいるのかであるな。
内容は30のコラムというか、最近のいろいろな世間の風潮に著者が考察をくわえるというもの。文章は平易で1テーマ6〜7ページなので楽に読める。
全体的に斬新な切り口というのは無いのであるが、わしからみてきわめて常識的なごくごくごもっともな論理が展開される。いろんなところから話を(○○さんが××という著書でこういっているというふうに)引用しているのでわし自身の読書ガイドとしても有用でした。
しかし、一番気になるのは、この本の内容について「常識的」と感じる人がどれくらいいるのかであるな。
コメントをみる |

日本のインテリジェンス機関
2005年9月27日 読書
帯に「この国に007が必要なわけは・・・・・・」とある、全然そんなこと書いてませんよ、どういう紹介だよ、まったく。
著者は元内閣情報調査室室長、宮沢、細川、羽田、村山、橋本の5人の総理に仕えた経験を持つ。当然、立場上(007が必要とはいってないが)日本はインテリジェンス機関の整備を図りより実効的な組織作りをするべきだという論調になる。ちなみにここで言うインテリジェンスとは、知性のことではなく「対象側が隠している本音や実態すなわち機密を当方のニーズに合わせて探り出す合目的的な活動」とされている。
わしのような基本的に国家権力を信頼していない人間にとっては、そういったインテリジェンス機関の整備ってのは、盗聴法や人権擁護法と同じで、国家に力を与えすぎるものとして聞いただけで拒否反応を起こしかけるが、著者はさすがにその畑で長くやってきただけあって話に説得力がある。
著者は、インテリジェンスは「毒」であると言い切る。そしてこれは社会の安全を守るために必要な「毒」であると。それを容認するに当たっては、●専門技能が必要であり、少量の毒で済ますこと●解毒のための社会的装置を同時に備えていること(筆者の具体的な例としては、30年たったらすべての文章を公開するといったような情報公開法の整備)、の二点が絶対に必要であると論じる。
なかなか面白かった、おかげでずいぶん洗脳された。本書は著者の実体験に基づいたものなので、政治読み物としても面白く読める。将来諜報活動に関わりたい人は必読。(そういや、わしも昔は『スパイのためのハンドブック』とかを読んでる諜報活動に憧れる若者だったんだ。)
著者は元内閣情報調査室室長、宮沢、細川、羽田、村山、橋本の5人の総理に仕えた経験を持つ。当然、立場上(007が必要とはいってないが)日本はインテリジェンス機関の整備を図りより実効的な組織作りをするべきだという論調になる。ちなみにここで言うインテリジェンスとは、知性のことではなく「対象側が隠している本音や実態すなわち機密を当方のニーズに合わせて探り出す合目的的な活動」とされている。
わしのような基本的に国家権力を信頼していない人間にとっては、そういったインテリジェンス機関の整備ってのは、盗聴法や人権擁護法と同じで、国家に力を与えすぎるものとして聞いただけで拒否反応を起こしかけるが、著者はさすがにその畑で長くやってきただけあって話に説得力がある。
著者は、インテリジェンスは「毒」であると言い切る。そしてこれは社会の安全を守るために必要な「毒」であると。それを容認するに当たっては、●専門技能が必要であり、少量の毒で済ますこと●解毒のための社会的装置を同時に備えていること(筆者の具体的な例としては、30年たったらすべての文章を公開するといったような情報公開法の整備)、の二点が絶対に必要であると論じる。
なかなか面白かった、おかげでずいぶん洗脳された。本書は著者の実体験に基づいたものなので、政治読み物としても面白く読める。将来諜報活動に関わりたい人は必読。(そういや、わしも昔は『スパイのためのハンドブック』とかを読んでる諜報活動に憧れる若者だったんだ。)
コメントをみる |

鈴木秀子の本を読むのは初めてであるが、調べたら『9つの性格』とか書いてた人であった。知ってたらこの本は読まなかったかもしれない、わしの食指が動かない方面だからね。でも、この本は読んでよかった、いろいろと考えさせられました。
本書は、相手の話を「聴く」ことにより相手自身が自分の問題に気付き自己解決を図れるようにしていくというアクティブ・リスニングの手法について書かれたものである。コミュニケーション技術によって相手を意のままに動かそうって言うのとは違い、あくまで相手が自分を自分自身で冷静に見つめなおすための手助けをする手法である。まあ、わしなんかも無意識にやってることが多く、そういったものに形を与えより深めてみたという感じでしょうか。わしは自分自身について考えるのに非常に役に立った。コミュニケーションについて、もう少し深く追求したい人にはお勧めですな。
で、本書を読んで考えるのはやはり娘との付き合い方だな。こういった、自分自身で気付かせるためのコミュニケーションをとるべきか、いわゆる強権的な親としての方法をとるべきかで悩むのだ。前者のほうが理想的であろうが、まず技術的に難しいってことととりあえず足下の状況を改善したいという欲求を満たすには後者のほうが早いのではないかという思いが交錯する。
わしは、長女が娘ではない、たとえばネットで知り合った女の子であったとしたら、いろんな面で実効的なアドバイスをしてあげられるし、信頼を勝ち得ることも出来る自信があるのだが、やはり親子という関係に縛られた状態ではなかなか出来ない話も多くて難しいな。まあ、この歳で高校生の子育てで悩めるのも得がたい経験ではあるんだが、なんだか早々と老成しそうな勢いだな。
本書は、相手の話を「聴く」ことにより相手自身が自分の問題に気付き自己解決を図れるようにしていくというアクティブ・リスニングの手法について書かれたものである。コミュニケーション技術によって相手を意のままに動かそうって言うのとは違い、あくまで相手が自分を自分自身で冷静に見つめなおすための手助けをする手法である。まあ、わしなんかも無意識にやってることが多く、そういったものに形を与えより深めてみたという感じでしょうか。わしは自分自身について考えるのに非常に役に立った。コミュニケーションについて、もう少し深く追求したい人にはお勧めですな。
で、本書を読んで考えるのはやはり娘との付き合い方だな。こういった、自分自身で気付かせるためのコミュニケーションをとるべきか、いわゆる強権的な親としての方法をとるべきかで悩むのだ。前者のほうが理想的であろうが、まず技術的に難しいってことととりあえず足下の状況を改善したいという欲求を満たすには後者のほうが早いのではないかという思いが交錯する。
わしは、長女が娘ではない、たとえばネットで知り合った女の子であったとしたら、いろんな面で実効的なアドバイスをしてあげられるし、信頼を勝ち得ることも出来る自信があるのだが、やはり親子という関係に縛られた状態ではなかなか出来ない話も多くて難しいな。まあ、この歳で高校生の子育てで悩めるのも得がたい経験ではあるんだが、なんだか早々と老成しそうな勢いだな。
コメントをみる |

33歳ガン漂流ラスト・イグジット
2005年9月18日 読書
もう、本当に読むのが苦しいね。2005年4月17日をもって、彼は文章を紡ぐことが出来なくなってしまった。よってガン漂流もこれがラストだ。謹んで彼のご冥福をお祈りする。
最後のご両親の手記がまた泣ける。彼は親がホスピスを勧めるのを嫌がっていたが、わしは勧める気持ちがよく分かるので複雑な気持ちだった。だが、今はただ彼が自分の生を全うしたとこに対し畏敬の念を覚えるだけである。
最後のご両親の手記がまた泣ける。彼は親がホスピスを勧めるのを嫌がっていたが、わしは勧める気持ちがよく分かるので複雑な気持ちだった。だが、今はただ彼が自分の生を全うしたとこに対し畏敬の念を覚えるだけである。
コメントをみる |

犯罪は「この場所」で起こる
2005年9月13日 読書門が閉まっていれば入らなかった――大阪小学校内児童殺傷事件の公判で、加害者はこう述べたという。
従来、犯罪対策は、犯罪者の人格や劣悪な境遇(家庭・学校・会社など)に犯罪の原因を求め、それを除去しようとすることが中心であった。しかしながら、このような処遇プログラムは結局再犯率を下げることができなかった。こうした「原因追及」の呪縛を解き、犯罪の予防に新しい視点を与えるのが、「犯罪機会論」である。
本書では、どのような「場所」が犯罪を引き起こすのか、また、物的環境(道路や建物、公園など)の設計や、人的環境(団結心や縄張り意識、警戒心)の改善を通して、いかに犯罪者に都合の悪い状況を作りだし、予防につなげることができるのかを、豊富な写真と具体例で紹介する。
あまりによく出来た紹介文だったのでそのまま抜き出した、この本の内容を端的に表している。ちなみにここでいう「縄張り意識」というのは悪い意味ではなく、自分達の住んでいる場所に対する安全やよい環境を守ろうという意識のことである。
この本のいいところは、理論だけでなく具体的な取り組み事例を多くあげていることである。なるほど納得、勉強になりますな。実際に地域の防犯に役立つ知恵が満載である。最近、近所の治安が心配とか思ってるむきには読んで損はないですよと言っておく。
しかし、この本の白眉は、第4章において実際に罪を犯した者(特に少年)の立ち直りプログラムについて言及されている点であろう。犯罪者を社会から排除し続けるだけでは、決して安全な社会は出来ない、「だれも排除されない社会」を目指す方向性の中にこそ柔軟かつ強度のあるコミュニティの未来があるとわしは思う。
この本の第3章までに書かれている取り組みとして、例えば、ハード面の改革である死角の少ない街づくりに取り組んだり、ソフト面の改革である地域の人々による安全マップの作成をして、参画意識や縄張り意識を高めたりすることはわりと容易に出来るのではないかという気がする。しかし、第4章の取り組みのように罪を犯したものに機会を与え、コミュニケーションを図り、対話していくということは、我々にかなりの意識変革を求めてくるのではないだろうか。だが、こういった意向をもった社会というものにわしは憧れるのである。わしの理想とする社会のデザインが垣間見れた一冊でありました。
コメントをみる |

32歳ガン漂流エヴォリューション
2005年9月9日 読書
奥山貴宏、2004年4月から2005年正月までの日記。彼のことが少しずつ分かってくる。小説『ヴァニシングポイント』を書き上げた時の達成感、思い入れ、自負、ホントに命を燃やしているという感じだな。
『31歳ガン漂流』から一年、症状はどんどん進行していき、彼の苦しさも息を呑むような感じになってくる。しかし、彼自身はどんどん成長していっている、そんな感じを受ける文章だな。自分の人生の残りを文章を書くことによって表現していく、その覚悟には感銘を受けずにはいられない。完敗です。
本の体裁も、一巻目のように二段組み(下段はワード解説)から普通の一段組みになり、ずっと読みやすくなった。最後の『33歳ガン漂流』を読むのがもったいないな、読まずにとっておきたいような複雑な気分だ。
『31歳ガン漂流』から一年、症状はどんどん進行していき、彼の苦しさも息を呑むような感じになってくる。しかし、彼自身はどんどん成長していっている、そんな感じを受ける文章だな。自分の人生の残りを文章を書くことによって表現していく、その覚悟には感銘を受けずにはいられない。完敗です。
本の体裁も、一巻目のように二段組み(下段はワード解説)から普通の一段組みになり、ずっと読みやすくなった。最後の『33歳ガン漂流』を読むのがもったいないな、読まずにとっておきたいような複雑な気分だ。
コメントをみる |

オヤジ国憲法でいこう!
2005年9月8日 読書
素晴らしい!!さすが、しりあがり寿、わしが見込んだだけはある(何)。自分のことを「ワシ」と呼ぶのもわしに似ていていい感じだ。わしは立ち読みなのが申し訳ないが、すべての中高生にお勧めする、読め。
内容は若者向けの人生の指南書。個性、友情、恋愛、幸福、親についてそれぞれ(オヤジ国)憲法の一条を割き、しりあがり的くだけまくった文章&重要なところはデカ文字で説いていく。おそらく、これを読んだヤング諸君は、がははと笑い、奇をてらったギャグで適当なこと言ってるよと思うかもしれない。しかし、わしもしりあがりといっしょに言っておこう、ここに書かれていることはすべて、恐ろしくまっとうで、ひたすら良心的なおじさんからのアドバイスであると。
いやホント、久しぶりにウチダ本に匹敵するお勧め本だ。
最近、若者向けの本を続けて読んでるが、なかなかいいものばかりだな。文章も分かりやすくてわしの頭脳にフィットするなり。
内容は若者向けの人生の指南書。個性、友情、恋愛、幸福、親についてそれぞれ(オヤジ国)憲法の一条を割き、しりあがり的くだけまくった文章&重要なところはデカ文字で説いていく。おそらく、これを読んだヤング諸君は、がははと笑い、奇をてらったギャグで適当なこと言ってるよと思うかもしれない。しかし、わしもしりあがりといっしょに言っておこう、ここに書かれていることはすべて、恐ろしくまっとうで、ひたすら良心的なおじさんからのアドバイスであると。
いやホント、久しぶりにウチダ本に匹敵するお勧め本だ。
最近、若者向けの本を続けて読んでるが、なかなかいいものばかりだな。文章も分かりやすくてわしの頭脳にフィットするなり。
コメントをみる |

人はあなたの顔をどう見ているか
2005年9月7日 読書
この本は、7月に新刊ででたときから知ってはいたんだが、題名がこれで、帯に「きれいになりたい人へ」・・・これではわしが手に取るわけなかろうが!!
たまたま同じちくまプリマー新書の香山リカの本を立ち読みしたらこの本が隣に積まれていた。なにげなく手にとってぱらぱらめくって見ると、なかなか面白そうなので思わず買ってしまった。こういうちょっとした差異とか偶然で、立ち読みされて終わるか、買われるか、はてまた気も付かれないかってのが変わってくるのが申し訳ないというかなんというか、すいません>立ち読みですませた本。
で、そういう「きれいになりたい人」が手に取った本書に仕掛けられてる爆弾は、著者が『顔面漂流記』で知られる生まれつき顔の半分に赤アザをもっている人だということである。ホンの些細な美醜ではなく、普通の人が想像するのも難しい「ユニークフェイス」な視点からコンプレックスについて語られるのである。
たしかに、「顔が美しかったり、ハンサムであれば、普通の顔をした人よりも、幸福で自由な人生を送ることができる」これは我々の社会で一般に信じられていることである。そして、そのことを煽る情報がマスメディアを通じて大量に流されている。本当にそれを追い求めることが幸せに繋がるのか?これは、著者のような極端な状況に身を置く者だからこそ説得力を持つ本である。
著者は、この本を『肉体不平等社会の中間に位置する「普通の顔」、そして、下層に位置する外見をした人のために書きました。』といっている。そう、外見の良し悪しにおける勝ち組やより美しくなることを煽ることによって儲けている企業の口車に乗ってコンプレックスを溜め込んでいってはいけない。身体コンプレックスという猛獣を飼いならすことにより、そのコンプレックスは人生の味方になるはずだ。そのためのヒントがこの本には書かれている。とはいえ、実際にこの本を読んで、そういうコンプレックスから完全に開放されるとはわしも思わない。それでも「コンプレックスを言語化しろ」という著者の主張にはうなずけるものがある。
自分の美醜に関わらず誰が読んでも面白く読めると思うので、自分達が取り憑かれているものを知るという意味でも、読んでみたらどうでしょう。
まったくの余談であるが、この本を読んでいて中学生のころを思い出した。にきび面でぼーっとした顔つきだったわしは、鏡で自分の顔を見て、「あーこれじゃあ女にはもてねえな。わしは外見では勝負できん」と思ってた。それが高校になり、ある女の子に告白っぽいことをされ、世の中には物好きがいるということを知った。そして、別にたくさんにもてなくてもピンポイントで何とかなればいいのだということを理解したのである。あ、ちなみにその告白してくれた女の子とはとくに付き合うこともなく、わしが振った形になったんだが、実態は、わしが舞い上がってしまいどうして良いか分からなくなってしまっただけなのである。いまなら確実にものにしていると思うのだが、なんとももったいない話である。
たまたま同じちくまプリマー新書の香山リカの本を立ち読みしたらこの本が隣に積まれていた。なにげなく手にとってぱらぱらめくって見ると、なかなか面白そうなので思わず買ってしまった。こういうちょっとした差異とか偶然で、立ち読みされて終わるか、買われるか、はてまた気も付かれないかってのが変わってくるのが申し訳ないというかなんというか、すいません>立ち読みですませた本。
で、そういう「きれいになりたい人」が手に取った本書に仕掛けられてる爆弾は、著者が『顔面漂流記』で知られる生まれつき顔の半分に赤アザをもっている人だということである。ホンの些細な美醜ではなく、普通の人が想像するのも難しい「ユニークフェイス」な視点からコンプレックスについて語られるのである。
たしかに、「顔が美しかったり、ハンサムであれば、普通の顔をした人よりも、幸福で自由な人生を送ることができる」これは我々の社会で一般に信じられていることである。そして、そのことを煽る情報がマスメディアを通じて大量に流されている。本当にそれを追い求めることが幸せに繋がるのか?これは、著者のような極端な状況に身を置く者だからこそ説得力を持つ本である。
著者は、この本を『肉体不平等社会の中間に位置する「普通の顔」、そして、下層に位置する外見をした人のために書きました。』といっている。そう、外見の良し悪しにおける勝ち組やより美しくなることを煽ることによって儲けている企業の口車に乗ってコンプレックスを溜め込んでいってはいけない。身体コンプレックスという猛獣を飼いならすことにより、そのコンプレックスは人生の味方になるはずだ。そのためのヒントがこの本には書かれている。とはいえ、実際にこの本を読んで、そういうコンプレックスから完全に開放されるとはわしも思わない。それでも「コンプレックスを言語化しろ」という著者の主張にはうなずけるものがある。
自分の美醜に関わらず誰が読んでも面白く読めると思うので、自分達が取り憑かれているものを知るという意味でも、読んでみたらどうでしょう。
まったくの余談であるが、この本を読んでいて中学生のころを思い出した。にきび面でぼーっとした顔つきだったわしは、鏡で自分の顔を見て、「あーこれじゃあ女にはもてねえな。わしは外見では勝負できん」と思ってた。それが高校になり、ある女の子に告白っぽいことをされ、世の中には物好きがいるということを知った。そして、別にたくさんにもてなくてもピンポイントで何とかなればいいのだということを理解したのである。あ、ちなみにその告白してくれた女の子とはとくに付き合うこともなく、わしが振った形になったんだが、実態は、わしが舞い上がってしまいどうして良いか分からなくなってしまっただけなのである。いまなら確実にものにしていると思うのだが、なんとももったいない話である。
コメントをみる |

<いい子>じゃなきゃいけないの?
2005年9月6日 読書
リカ先生のいい子やめようキャンペーン
ちくまプリマー新書の新刊。中高生向けなので立ち読みであっという間に読了。面白い。あんまりたくさんのことをいっていないのがいい。主張はきわめてシンプル、いい子でいなけりゃ嫌われるなんてことはない、無理していい子なんてしないでもっと吐き出しなさい、ホントは親だって困らせてもらいたいって思ってるんだ。
最近はいい子が増え、反抗期のない子供も多いそうで、それはそれでそのときは親の手がかからなくていいんだけど、やっぱりどこか無理してたり、溜め込んだりしてる。それをあとから取り返すのはとても大変だから、子供たちの周りに有形無形で漂っている「いい子でいなさい」「いい子でなければ価値がない」という雰囲気にだまされちゃだめだよ、ってことを言ってるわけだ。じょじょに世間でも、いい子すぎるのは逆によくないんじゃないかって考えも増えてきたような気がするし、その流れの一環なんでしょうな。この本読んだ中高生にそれで伝わるかってのはなんともいえないとは思うけど、そういうアナウンスは必要だよなと思ったのでした。
そうそう、今の学生には尾崎豊は受けないんだそうですぜ。あの怒りはいまや共感を呼ばないんだそうだ。
※うりゃー、題名にへんな記号使うからアマゾンにリンクできないだろー(日記タイトルは記号を全角に直しました)。←リンクは出来たみたいだ・・・。
ちくまプリマー新書の新刊。中高生向けなので立ち読みであっという間に読了。面白い。あんまりたくさんのことをいっていないのがいい。主張はきわめてシンプル、いい子でいなけりゃ嫌われるなんてことはない、無理していい子なんてしないでもっと吐き出しなさい、ホントは親だって困らせてもらいたいって思ってるんだ。
最近はいい子が増え、反抗期のない子供も多いそうで、それはそれでそのときは親の手がかからなくていいんだけど、やっぱりどこか無理してたり、溜め込んだりしてる。それをあとから取り返すのはとても大変だから、子供たちの周りに有形無形で漂っている「いい子でいなさい」「いい子でなければ価値がない」という雰囲気にだまされちゃだめだよ、ってことを言ってるわけだ。じょじょに世間でも、いい子すぎるのは逆によくないんじゃないかって考えも増えてきたような気がするし、その流れの一環なんでしょうな。この本読んだ中高生にそれで伝わるかってのはなんともいえないとは思うけど、そういうアナウンスは必要だよなと思ったのでした。
そうそう、今の学生には尾崎豊は受けないんだそうですぜ。あの怒りはいまや共感を呼ばないんだそうだ。
※うりゃー、題名にへんな記号使うからアマゾンにリンクできないだろー(日記タイトルは記号を全角に直しました)。←リンクは出来たみたいだ・・・。
コメントをみる |

やっぱり奥山クンはブログが似合う。これを読むと、『ヴァニシングポイント』はわしが最初に思った以上にフィクションの部分が多いのかなと思ってしまう。ブログでの彼はあまりに普通で自然体だ。
ちょっとオタクなアニメや映画や小説や音楽やそんな日常のなかに、ガン闘病がさりげなく盛り込まれる。彼の意図通り、これは闘病記ならぬ闘病記であり、かれの日常である。
いや、でも面白かった。彼の冥福を祈る。
ちょっとオタクなアニメや映画や小説や音楽やそんな日常のなかに、ガン闘病がさりげなく盛り込まれる。彼の意図通り、これは闘病記ならぬ闘病記であり、かれの日常である。
いや、でも面白かった。彼の冥福を祈る。
コメントをみる |

働くということ - グローバル化と労働の新しい意味
2005年8月30日 読書
メッセでやたらわしに話しかけてくる学生に名著だと勧められた本。今年の四月にでた新書なのでわしがチェックしてないはずはないのだが、どうも働くことの意味を説教臭く説いてくれる本だと思ったみたい。実際に読んでみると、現代社会の労働状況についていろいろな見地から考察されたとても刺激的な本でした。
しかし、しかしである、この訳文はいただけないな。わしは読んでいて回りくどい言い回しや、原文そのままの構文の日本語に何度も殺意を覚えたぞ。だいたい、学術的な文章でならいざ知らず、著者のような日本の雑誌や新聞によく著述する名の知られた人の文章を(しかも新書で)訳出するにあたって、こんな日本語として不自然な文章を許すなんぞあってはならないよな。訳者もそうだが、編集者は何をしているのだといいたい。
で、内容については(回りくどい日本語にもかかわらず)なかなか勉強になりました。わしも著者と考え方の立ち位置は同じ(つまり反ネオリベラリズムってことだ)だが、ひとつだけ同意できないのは、【避妊が一般化する以前、社会的安定を確保するために必要だった性的抑制は、自己満足の抑制を要求した他のすべての規範をも強化する効果を持ちました。性的な事項においてなんでも許されるとき、貪欲も含めた、他の欲望に関してもあらゆることが許されがちな社会が生まれます。】というくだりだ。どうしてそういう理路になるのかわしにはまったく理解不能である。
なんでこんなどうでもいいところに突っ込みを入れるのかといわれそうだが、ここだけ妙に頭に残ったからだ(以上)。
しかし、しかしである、この訳文はいただけないな。わしは読んでいて回りくどい言い回しや、原文そのままの構文の日本語に何度も殺意を覚えたぞ。だいたい、学術的な文章でならいざ知らず、著者のような日本の雑誌や新聞によく著述する名の知られた人の文章を(しかも新書で)訳出するにあたって、こんな日本語として不自然な文章を許すなんぞあってはならないよな。訳者もそうだが、編集者は何をしているのだといいたい。
で、内容については(回りくどい日本語にもかかわらず)なかなか勉強になりました。わしも著者と考え方の立ち位置は同じ(つまり反ネオリベラリズムってことだ)だが、ひとつだけ同意できないのは、【避妊が一般化する以前、社会的安定を確保するために必要だった性的抑制は、自己満足の抑制を要求した他のすべての規範をも強化する効果を持ちました。性的な事項においてなんでも許されるとき、貪欲も含めた、他の欲望に関してもあらゆることが許されがちな社会が生まれます。】というくだりだ。どうしてそういう理路になるのかわしにはまったく理解不能である。
なんでこんなどうでもいいところに突っ込みを入れるのかといわれそうだが、ここだけ妙に頭に残ったからだ(以上)。
コメントをみる |

いやあ、この本読むのに一ヶ月ぐらいかかったな。全然集中できませんでした、やはり哲学物はわしには厳しいのか(笑)。
前半はほんとに「自我の哲学史」なのでしんどかったが、第二部で西洋と対比した日本の自我についての考察に入り、読みやすくなった分面白く読めた。しかし、いってる事はそんなに目新しくもないような気がするな。
自我について西洋と日本のものを比較するのであれば、こういった哲学的アプローチもいいだろうが、心理学的なツールを用いたアプローチ無しではどうもリアルさに欠けるような気がする(まあ、それがあればリアルって訳でもないが)。
どうも、脳味噌の活性化度が低いときに読んだので、いまひとつ読み込めなかったのかもしれん。でも、読み通しただけで満足しておく。
前半はほんとに「自我の哲学史」なのでしんどかったが、第二部で西洋と対比した日本の自我についての考察に入り、読みやすくなった分面白く読めた。しかし、いってる事はそんなに目新しくもないような気がするな。
自我について西洋と日本のものを比較するのであれば、こういった哲学的アプローチもいいだろうが、心理学的なツールを用いたアプローチ無しではどうもリアルさに欠けるような気がする(まあ、それがあればリアルって訳でもないが)。
どうも、脳味噌の活性化度が低いときに読んだので、いまひとつ読み込めなかったのかもしれん。でも、読み通しただけで満足しておく。
コメントをみる |

新書ではありがちなことであるが、この本の題名はこの本の内容を示してはいない。この本は、どちらかというと「ダメな教師」をなくす(減らす)ためにはどうしたらよいかを考えた教育論ですね。営業的な視点からの出版社側の意向だろうけれどわしはあんまりこういうやり方は好きではないな(まあ、ましなほうだけど)。
著者は「教育とは人なり」と説く。いわゆる教育改革ものの本ではシステムとか教育内容の改革ばかりが論じられるが、ずばり教師の質を正面きって取り上げる本は珍しい。教師の質を上げなければ教育の改善は望めない、なるほどごもっともだ。そして、今の学校がいかに教師を腐らせていくシステムになっているかを説明していく。競争や評価のないところでは、ひとは切磋琢磨して技術を向上させていくことが困難になる。そんな学校の現状を打開するために著者が提案するのは、生徒や保護者による教師の評価制度の確立である。
アマゾンのレビューとかをみるとかなり酷評されている本書であるが、わしには結構面白かった。いってることは説得力があると思うんだがな。ちょうど逆の立場で書かれた『オレ様化する子供たち』とあわせて読んでみるとなかなか面白い。子供が変わってしまったのか、あるいは先生が悪いのか。教育は与えるものでサービスの売り買いではないのか、果てまた同じ市場原理を働かせることが必要なのか、なかなか考えることはつきない。
著者は「教育とは人なり」と説く。いわゆる教育改革ものの本ではシステムとか教育内容の改革ばかりが論じられるが、ずばり教師の質を正面きって取り上げる本は珍しい。教師の質を上げなければ教育の改善は望めない、なるほどごもっともだ。そして、今の学校がいかに教師を腐らせていくシステムになっているかを説明していく。競争や評価のないところでは、ひとは切磋琢磨して技術を向上させていくことが困難になる。そんな学校の現状を打開するために著者が提案するのは、生徒や保護者による教師の評価制度の確立である。
アマゾンのレビューとかをみるとかなり酷評されている本書であるが、わしには結構面白かった。いってることは説得力があると思うんだがな。ちょうど逆の立場で書かれた『オレ様化する子供たち』とあわせて読んでみるとなかなか面白い。子供が変わってしまったのか、あるいは先生が悪いのか。教育は与えるものでサービスの売り買いではないのか、果てまた同じ市場原理を働かせることが必要なのか、なかなか考えることはつきない。
コメントをみる |

ヘンタイの哲学―ヒトの性欲と快感のしくみを探る
2005年8月22日 読書
久しぶりにキム・ミョンガンの名前を聞いたな、ちゃんと生きてたんだ。と、思ったら’97年に出した本に加筆・訂正したものらしい。
でも、そんなに古臭くは感じないし面白いんじゃないでしょうか。すらすら読めるし、ちょっとだるいところがあったり繰り返されてる部分もあるけど、まあ許容範囲。内容は、まさに性人類学者キム・ミョンガンによるヘンタイ賛歌。
いやほんと、こんなにヘンタイ擁護の本ってそんなにないから、ヘンタイさんは漏れなく読むべし(あ、わしか)。人間のフェティシズムがいかに千差万別か、また社会によって規制がいかにテンでばらばらか目から鱗の落ちる知識がいろいろ得られる。
著者のいってること自体にはとても説得力があるので、是非加筆訂正にとどまらず全面改訂で望んで欲しかったと思う。もったいない。
でも、そんなに古臭くは感じないし面白いんじゃないでしょうか。すらすら読めるし、ちょっとだるいところがあったり繰り返されてる部分もあるけど、まあ許容範囲。内容は、まさに性人類学者キム・ミョンガンによるヘンタイ賛歌。
いやほんと、こんなにヘンタイ擁護の本ってそんなにないから、ヘンタイさんは漏れなく読むべし(あ、わしか)。人間のフェティシズムがいかに千差万別か、また社会によって規制がいかにテンでばらばらか目から鱗の落ちる知識がいろいろ得られる。
著者のいってること自体にはとても説得力があるので、是非加筆訂正にとどまらず全面改訂で望んで欲しかったと思う。もったいない。
コメントをみる |

あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書
2005年8月15日 読書
わしが今まで読んだ太平洋戦争物の中で一番分かりやすい、さすが副題に「大人のための歴史教科書」と書いてあるだけの事はある。
まさにおっしゃるとおり。読むべし。
太平洋戦争を正邪で見るのではなく、この戦争のプロセスにひそんでいるこの国の体質を問い、私たちの社会観、人生観の不透明な部分に切り込んでみようというのが本書を著した理由である。あの戦争のなかに、私たちの国に欠けているものの何かがそのまま凝縮されている。そのことを見つめてみたいと私は思っているのだ。その何かは戦争というプロジェクトだけではなく、戦後社会にあっても見られるだけでなく、今なお現実の姿として指摘できるのではないか。
まさにおっしゃるとおり。読むべし。
コメントをみる |
