【川崎昌平 ちくま新書】

前に読んだ同じ著者の『ネットカフェ難民』がなかなか面白かったので、本書も引き続き読んで見た。

これは、著者の実際の就職活動の記録であり、「若者はなぜ正社員になれないのか」を学術的社会学的に考察したものではないのでそれを期待するとがっかりすると思う。でも、彼の行動の中から見えてくる現代の若者の置かれた状況というものもなかなか興味深くはある。

わしは、内容よりも彼の文章や発想が面白いので読んでいるのだが、まさにその点が本書の問題点でもある。というのは、彼(著者)は、ぼんくらな若者を装ってはいるが、その文章や考え方を読めば明らかに優秀であるってのがみえてくる。川崎君、だって君就職しなくても物書きとしてやっていけるんじゃないの?ってだれもが突っ込みたくなるよな、実際。

たしかに、わしなんかも派遣社員の若者と仕事する機会が増えてきて、そこには優秀でどうみても派遣社員にしておくのはもったいない若者もたくさんいる。彼らは、ほんとうに運が悪いとしかいいようのない理由でいまの地位にいるのだが、かといってきちんと彼らを正社員で引き受けるところもない。使い捨ての身に甘んじるしかない彼らの状況をなんとかしないといけませんよと、わしがここでいってもどうしようもないが、それでもとりあえずいっておく。企業はちょっと無理してでも正規雇用しなさい。

コメント