となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術
【関根眞一 中公新書ラクレ】

いやー、いままで手に取らずにすましてたのが申し訳ない、面白かったです。ちょうど一年前の話題本だけれど、雑誌で評価高かったので読んでみた次第。

百貨店のお客様相談室にいた経験を持つ著者の経験したとんでもない客のお話なので面白いに決まっているんだけど、わし自身もとんでもクレーマーの被害経験をもつのでかなり共感できた。いや、ほんと結構いるんですよこんな人たち・・・。そして、クレーマーへの対応の仕方もその通りだなと経験上納得がいきました。

わしが経験したのも名うてのクレーマーで、ちょっとした不調・不具合の問い合わせから始まり、こちらの手落ちがあればすかさず喰いついて、ことあるごとに文句をつけ、使用期間の長い商品を新品に交換させるのは当たり前で、場合によってはグレードアップを図ってしまうというツワモノでした。過去に、対応者が折れてしまいそういう対応をとってしまったのがよくなかったんだと思うんだが、いまさらいっても仕方ないですな。

本来は、業務内容的にもわしはまったく関係ないんだけど、取引先が相手が怖くなって強引にわしに振ってしまった為に応対せざるを得なくなったのでした。最初は簡単な電話応対だったが、自分の主張を地元言語でまくし立てるので「お客様、言葉が聞き取れなくて、お客様の仰ってる意味が分かりません。」といったところ、「お前オレをばかにした」これですよ、きましたね。

その後、いろいろやりとりが続き上司を巻き込んで謝罪にいったわけですが、当然次のステップ「誠意をみせろ」これがくるわけですね。向こうもプロ?ですから恐喝になるようなへまはしません。具体的な金品の要求は自分からは切り出さず、あくまでこちらの提案を待つというスタンスを取り続けます。

しかし、こちらははなから対応する気はないので、ひたすら謝り続けるだけです。「お客様を馬鹿にしたと誤解されるような表現をしてしまい、精神的に傷つけてしまったのはまことに申し訳ございませんでした。」「でも、こちらとしては誠意は謝ることでみせるしか方法がありません、申し訳ございませんでした。」何回か訪問しましたが、最後は向こうが折れ被害はありませんでした(謝りにいった時間と手間はあきらかに被害ですが)。しかし、向こうはあくまでこちらが駄目ならあちらと矛先を変えただけで、結局もとの担当者から最新機種への商品交換を勝ち得てしまいました。まあ、取引先の判断ですからこちらから言うことはありませんが、担当者一人に背負わせるからこうなってしまうんだろうなとは思います。組織全体で対応しようと言う心構えがないとこういう輩に食い物にされるだけです。

まあ、そんなわけで、こんな確信犯的クレーマーだけでなく、いろんなタイプのクレームが載っており楽しく?読めます。

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