【橋本 努 ちくま新書】

いままでも少しは「自由」に関する本は読んできているし、こういった適当(失礼)に書かれた本に食指は動かないんだが、著者がわしと同年代だったので読んでみた。

個々の話はなかなかよみやすくて面白かったんだけど、amazonの書評で絶賛されている理由はまったく分からず。60年代後半の「あしたのジョー」、70〜80年代の「尾崎豊」、90年代の「オウム真理教」と「エヴァンゲリオン」、これらを通して時代の「自由」に対する認識を分析していくってのはお話としては面白くはあるしそれなりに核心をついていると思うんだけど、それだけってのはどうなんだ?実際、著者自身尾崎豊と同世代を自認しながらその死まで存在をほとんど知らなかったっていってるわけだしさ。その時代に筆者のように「尾崎」体験がなかった若者はどのようなことに自由を感じていたのか、自分の感覚でいいから触れておくべきなんじゃないのかな。わしは尾崎、オウムはリアルタイムでしかもそれなりに深く影響を受けたので実感として分かるが(それだけに突っ込みどころも多いんだが)、エヴァンゲリオンはまったく分からないので、そのときはこうだったといわれても、えーほんとにそうだったのか?その時代を生きててまったくそういう空気を感じてなかったわしはなにしてたんだ?という感じだぞ。

あとがきにあるように、本書の狙いが「自由とは何か」について考察している学生にさらなる思考材料を与えるということであるならば、まあこういうのもありなのかなとは思う。

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