【杉山 登志郎 講談社現代新書】

発達障害について非常に分かりやすく書かれた良書。発達障害の子どもを持つ親、教師、小児科医などはもとより子どもに関わる多くの人に是非読むべきとお勧めしたい本である。新書ブームの昨今、このような本こそがたくさんの人の目にとまるように宣伝されるべきだと思う。

著者は徹底した現場の人であり、発達障害とはなにかから始まり個々の障害についてまで豊富な事例を交えながら解説していく。発達障害というもの全体を見渡した視点がゆるぎないため、各項目についてもたいへん分かりやすい。そして、子ども自身の幸せとは何かを考え、そのときだけの対症療法ではなく、長くひとりひとりの子どもの成長を見守ってきた著者ならではの提言はとても説得力がある。

最後に、「障害」という言葉ではなく「失調」といった言葉を使用したほうが誤解が少ないのではないかという著者の意見に深く同意する。

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