私の男

2008年1月3日 読書
【桜庭 一樹 文藝春秋】

本屋で平積みになってるのを買ったのに何でシュリンクされてるんだろうと思ったら、サイン本でした。

奥尻島震災孤児の花と彼女を25歳の若さで引き取った遠縁の腐野淳悟の物語。心に暗い闇を抱えた父娘の物語は一章ごとに語り手を変え過去へと遡っていく。じめじめと湿っぽくあるいは凍えそうに冷たく、そして異臭漂う文章。これほど嗅覚を刺激する文章をはじめて読んだ。

はあ、とため息をついて読み終え、ネットで著者のプロフィールを読んで驚愕。著者はじょせい!?だって一樹だよ、格闘家の桜庭和志と読みで一字違いなのに女性だったのか!いや、名前だけじゃなく文章読んでてもまったくそう感じなかった。そういや、サインの筆跡が言われてみれば女性っぽい・・・。でも、女性ときいて少し安心した、娘を持つ父親としてはこれを男性が書いたとしたらかなりショックだもんな。

これは、人に薦めるのははばかられるが、間違いなく傑作、すごいです。

あ、あと第一章で花が「人に暴力を振るったのはこれが初めてだった」ってのがあるんだが、ということはあれは暴力にはカウントされてないのか???細かい突っ込みというか、どういう意図でそう書いたのかなと著者に聞いてみたい気がした。

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