【古野 まほろ 講談社NOVELS】

偶然本屋で古野まほろシリーズ(?)の最新刊が出ているのを発見したので買ったんだが、ずいぶん3巻目が出るの早くないか?4ヶ月しかたってないぞ、恐ろしく筆が早いのか?兼業作家じゃなかったっけ?まあいいけどさ。

というわけで、裏表紙には著者のなみなみならぬ思いがかかれていたので書き写す。
三部作、というのが夢でした。つい六日前までは、果たすべきそれが命題だったからです。
終わりました。
そしていまこそ勅許を得、僭越ながら申し上げましょう。
この古野まほろ、正当なる後継者、であります。

なんの後継者かってのは書いてないけど、「新本格」のってことなんでしょうね。自信というか、書き上げた達成感が感じられますな。

筆者が新本格に挑んだんだろうなと思わすところは、前作までの(心が読めるといった)特殊事情を廃していたり、じつは戦時中だったりとかパラレルワールドの話だったりするところもとりあえずはカッコにくくっておき、純粋に天愛島における事件に舞台を絞ってきていること、そしてラスト近辺でお約束で登場する敵キャラも今回は(ほぼ)ご遠慮ねがっているところなんかでも感じられる。

相変わらず、文章はまほろ語が頻発して「うげら」「ぼあし」と五月蝿かったり、ルビだらけなのも変わってない。おそらく新本格好きな人たちにはこの文章が一番引っかかると思うんだが、なぜかわしに関してはまったく気にならないので問題なし(笑)。

で、読後感なんですが、大変面白うございました。ラスト150Pぐらいはひたすら夢中で読めました。うらうらこれでもかこれでもかとアクロバティックに物語が展開していくさまはなかなかの快感でございます。おいしゅうございました。

しかし、しかしだな、あらためて考えるといろいろと納得のいかないところがでてくんだけどさ。


警告ここから先は激しくネタバレを含みますので、これから本書を読む可能性のある諸氏におかれましては、うっかり読んで後悔なされないように願います。

そもそも彼らはなんで殺されなければならなかったのかって話なんだが、男三人は集団レイプの罪があるから分からんでもない、しかし女二人も殺されてるんだからやはりヘロイン関係の話も事実であるということでいいんだよな。ヘロイン関係が架空の話でしたでは話のつじつまが合わなすぎるもんな。で、そうすると最後までそれを芝居と信じつつ真犯人役を見事にやり上げ、自殺させられてしまった彼はだな、実際にヘロインに手を染めていながら、ヘロイン関係のごたごたで仲間を皆殺しにしていった犯人役を演じてたってことになるよな。そんな秘密をばらされながら最後にみんな出てきて大団円を期待して笑いながら死んでいくバカがいるか?真の黒幕が明かされる大どんでん返しは、あいやーここまでやるかって感じで大変いいんだけど、その部分が腑に落ちないんだよな。だれかちゃんと説明してくれー(笑)。まあ不自然さって点では言い出したらきりがないんだけどさ、かろうじてバランスをとっている物語の中でも上記の部分だけは大きな瑕疵に思えて仕方がないので・・・。

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