【柴山 雅俊 ちくま新書】

面白い。解離性障害の患者の世界がよく分かり、大変興味深く読めた。筆者の意識変容に対する視点もとても面白い。しかし、惜しむらくはちょいと難しく書きすぎと思われるところ、著者自身が解離の病態に苦しんでいる人たちやその家族、友人、恋人に読んでもらいたいと書いているのであれば、もう少し分かりやすい言い回しをするべきではないか。まあ、それは編集者の責に帰するところも多いのではないかとも思うが。

解離性障害といえば、とりあえず多重人格が思い浮かぶが、そこまでいかなくても、後ろに誰かがいるという感覚や、自分の姿を自分が外から眺めているという感覚、現実世界がなんだかフィルターを通して観ているように思えるといった話は結構日常的に聞くのではないだろうか。霊が見えるといったオカルティックな体験も解離性障害の視点から観るととまた違って感じられる。そういった感覚を日常的に感じている人にも本書はお勧めです。

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