天帝のはしたなき果実
2007年8月8日 読書
【古野 まほろ 講談社ノベルス】
いやいや、面白うございました。『虚無への供物』とは違った意味でアンチミステリですな。そしてこれは、著者が著者自身のために書いた物語だよな、主人公も同名だし。もう、己の嗜好をこれでもかといわんばかりに書き連ね、登場人物のギャグにトリビアルなネタをちりばめ、それが結構分かるわしはおそらく著者と同年代のはず。著者紹介にはなぜか酉年とだけ書かれているが、著者が1969年、昭和44年生まれでなければわしは心底驚くぞ(はらたいらに2000点)。
時は1990年代初頭、戦後の状況が少し違ったらしく、日本帝国が存続しているらしいパラレルワールドでの話し。でも、冷静に見ていくと1990年代にしては?ってとこもあるにはあるんだが、そこはパラレルワールドだからいいのか、いいんだよな。ミステリというよりは、オタク度満点の吹奏楽部をとりまく学園物の部分が大半。そして、その超文系書体というか、ルビの大群に目くらましをかけられること請け合い。これは、なかなか人には薦められませんな(笑)。アマゾン、その他書評でぼろぼろなのも肯けます。でも、ミステリの定石はきちんと踏み外さずその部分がよく出来ているのもまた事実。この物語が『虚無への供物』と似ているのは、本格推理にできるというところを充分見せた上であえてそうしていない点。最後の超どんでん返しというかトンデモ展開も含め、わしにとっては愛すべき一冊でした。なにより著者の言葉へのこだわりには頭が下がります。ルビに惑わされるが日本語表現に対する愛着はなみなみならぬものがありますよ。
いやいや、面白うございました。『虚無への供物』とは違った意味でアンチミステリですな。そしてこれは、著者が著者自身のために書いた物語だよな、主人公も同名だし。もう、己の嗜好をこれでもかといわんばかりに書き連ね、登場人物のギャグにトリビアルなネタをちりばめ、それが結構分かるわしはおそらく著者と同年代のはず。著者紹介にはなぜか酉年とだけ書かれているが、著者が1969年、昭和44年生まれでなければわしは心底驚くぞ(はらたいらに2000点)。
時は1990年代初頭、戦後の状況が少し違ったらしく、日本帝国が存続しているらしいパラレルワールドでの話し。でも、冷静に見ていくと1990年代にしては?ってとこもあるにはあるんだが、そこはパラレルワールドだからいいのか、いいんだよな。ミステリというよりは、オタク度満点の吹奏楽部をとりまく学園物の部分が大半。そして、その超文系書体というか、ルビの大群に目くらましをかけられること請け合い。これは、なかなか人には薦められませんな(笑)。アマゾン、その他書評でぼろぼろなのも肯けます。でも、ミステリの定石はきちんと踏み外さずその部分がよく出来ているのもまた事実。この物語が『虚無への供物』と似ているのは、本格推理にできるというところを充分見せた上であえてそうしていない点。最後の超どんでん返しというかトンデモ展開も含め、わしにとっては愛すべき一冊でした。なにより著者の言葉へのこだわりには頭が下がります。ルビに惑わされるが日本語表現に対する愛着はなみなみならぬものがありますよ。
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