【福岡 伸一 講談現代新書】

福岡伸一ってどっかで聞いた名前だなあと思ってたら、2004年に読んだ『もう牛を食べても安心か』の著者であった。
http://diarynote.jp/d/62692/20041223.html
このレビューにも書いているが、この人は科学読み物の書き手としてはほんとうに優秀だと思う。読みやすく分りやすい文章で、科学の世界を興味深く紹介してくれる。本書もまた分子生物学の世界を、表現豊かな文章で案内してくれる。

筆者は文章を書くこと自体が好きなんだろうと思う、風景描写やいろいろなたとえ話が多くて、新書としては厚めの280Pの分量になってしまった。でも、一見、冗長に思える寄り道も彼の世界を見る目がどのようなものかがうかがい知れて非常に興味深い。

本書は、生命とは何か?という問いに対して、単に自己複製をするシステムというだけではなく、われわれが世界の中に見出す生物と無生物のあいだにはもっと違ったダイナミズムがあるのではないかということを語っているのだが、そのなかでもシェーンハイマーの動的平衝論の部分は、わくわくしながら読めること請け合いであるので是非読んでみてほしい、お勧め。

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