【古川 日出男 角川文庫】

時は、ナポレオン率いるフランス軍がエジプトを侵攻しようとしているまさにそのとき、フランス軍を壊滅させるための奇策『災厄の書』(読むと、あまりの面白さに我を忘れ狂気へと誘われる書をナポレオンに献上するのだ!)の作成を進めるアイユーブ。語るは謎の美しき女語り部ズームルッド。そしてそれを命を賭して書き写す稀代の書家とその奴隷。

物語はさらに風呂敷を広げる。『もっとも忌まわしい妖術師アーダムと蛇のジンニーアの契約の物語』から一千年『美しい二人の拾い子ファラーとサフィアーンの物語』が幕を開ける。いやー、楽しいですな。アルビノ(白子)の魔道士に魔剣を操る美剣士が地下迷宮で朽ち果てた妖術師と相対する。まさにアラビアンナイト!、そしてこれは剣と魔法の物語ヒロイックファンタジーではないか。アルビノに魔剣とくればそりゃあエルリックサーガですよね、うー懐かしい。

というわけで、二巻目も面白うございました。最初に思ってたのとは全然違う話だったが、これは逆にわしにとっては懐かしい種類の読み物。物語が、口伝えで物語られるそのままに提示される文体は、慣れればこれはこれで面白い。三巻目も楽しみ。

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