【ブルックス・ブラウン ロブ・メリット 太田出版】

衝撃的な本である。最初に読んだのは2年前、それ以降思い出したように読み返す。

著者はコロンバイン高校銃乱射事件の犯人の友人にして、事件後犯行への関与を疑われた人物。彼の文章の合間に、記者のロブ・メリットが事実関係や取材で得た情報を挿入していく形で本書は構成されている。なにが彼等をあれほどの犯罪に駆り立てたのか?日本でも過激な少年犯罪が起こるたびに専門家や大人達がいろんなコメントをするが、この本は加害少年にとても近い目線から書かれているだけにリアリティと説得力を持っている。

著者は言う「エリックとディランが見た現実社会で起きていたことが、どんな映画やテレビゲームよりも、あいつらを形作った。現実社会であいつらが経験したことこそ、ぼくたちが調べなければいけないことなんだ。」と。
事件に至る彼等の生い立ちから始まり、事件後のマスコミ、学校、警察、聖職者の対応や反応について、著者が振り返り自分なりに考え抜いた意見が述べられていく。その内容は二十歳そこそこの青年が考えたとは思えないぐらい鋭く深い。
家族について、社会について、犯罪について、癒しについて、そして戦うことについて、この本が示唆し我々が考えさせられることは多い。おすすめ。

最後に、罪作りなことであるが、この本はエンターテイメントとして読まれても非常に面白い。優れたノンフィクションが持つオーラのようなものを感じた。

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