無防備な日本人

2006年5月2日 読書
文章がこなれていてとても読みやすい。でも、それだけで役には立たない。

筆者は、1995年の阪神大震災と地下鉄サリン事件を境に日本人の危機意識は大きく変わったという、それには同意できる。しかし、それ以降も日本人は危機管理のスキルがいっこうに身につかないと切り捨てるのだが、どう身についてないのか印象論ばかりできちんと説明できていない。そもそも、自然災害や人的災害をネタにリスク処理ができていなかったと指摘したってさ、そりゃ指摘するほうは後出しだからいくらでも指摘できるにきまってる。同じことを繰り返すとか、教訓がいかせていないってことを例示しないとスキルが身についてないことを説得的にいえないだろ、本書はそれがまったくできていない。

そして、じゃあどうすればいいんだってことは第6章の「プロテウス的リスク管理」に書かれているんだが、ここはちょっとお粗末すぎるんじゃないだろうか。例示している内容も的外れなものがおおいし(クリストファー・リーヴの話なんか感動的だけどこの文脈では何言いたいのかわからん)、最終的な結論が「利己的に生きろ」っていうのではまったくお話にならない。

後半に行くにしたがって、読んでてストレスの溜まる内容であった。

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