漫画の夜回り先生も3巻目、情念に満ちた土田世紀の画が楽しめる。あいかわらず巧い。原作(というか実際にあった話)をアレンジしているのでもはやノンフィクションとはいえないであろうが、リアルに訴えかけてくるものがある。引ったくりにあってもカバンを放さず引きずり倒される老婆の表情なんか怖すぎです。

しかし、どうなんだろうな。たしかに感動できる話ばかりなんだが、これからは同じパターンの繰り返しにしかならないんじゃないかな。わしが本当に読みたいのは、水谷が関わってきた悲しい子供たちの事例ではなくて(それもいいんだけど)、水谷自身の心の中の葛藤であり慟哭である。彼がなにを想い感じてあの行動に走っているのか、その部分こそを土田世紀には(個人的に感じたものでいいから)表現して欲しいと思う。

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