反チョムスキーなチョムスキー入門

アメリカネオコン批判の言説で有名なチョムスキーであるが、本書は彼の本業である言語学における「生成文法」の解説書・・・なんだけれども、著者の町田教授はすでに「生成文法」の限界を視野に入れて解説してくれるもんだから、「いろいろと問題はあるがこう定義されている」とか「仮定ばかりでなにひとつ実証されていない」というようなことが随所にもりこまれ、読者は、いったいこの理論をどこまで信じればいいのだろうかと思いながら読みすすまさせられることになる。

わし自身は、生成文法を勉強したかったわけではなくて、たまには脳みそを絞るような本を読んだほうがいいかなぐらいの気持ちだったので結論はどうでもいいんだが、あとがきもなく最後に【言語学に科学的な論証法をもたらすかのように見えた生成文法は、現在のままでは科学的合理性から遠ざかっていくばかりです。チョムスキーが老齢に達した今、生成文法の行く末がどうなるのか、興味深いです。】なんて書かれて終わられたら、真面目に勉強しようと思った人はどうなっちゃうんですか?わしですら、生成文法終わっちゃってるんですね、今まで読んできたのは終わった理論なんですね、チョムスキーは政治活動しとけってことなんですね、となんだか悲しい気分になったぞ(笑)。

とまあそんな具合なのであるが、たしかに解りやすいので、生成文法ってどんなもんなのかなと軽い興味を抱いた人にのみおすすめします。

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