長寿世界一を誇り続ける日本であるが、本当にその医療現場は優秀で医療制度は優れているのか?本書は第一部において「機会の平等」と「結果の平等」の二つの観点から日本の医療制度の矛盾を明らかにし、第二部において「よい医療(制度)」を実現するために、「一人ひとりの努力で出来ること」「為政者に任せないといけないこと」にわけて解説していく。

第一部は、日本の医療の矛盾点がいろいろな角度から指摘されていて面白い。データーもかなり深く追求しているように見受けられる。ただし、そのほとんどは独自調査であるので、著者の主張は納得しつつも留保の状態にしておくしかない。今後、同じような本を読んだときに比較してみることにする。

第二部において、第一部で指摘された矛盾を解決するための処方箋が与えられるのかなと思い読み進んでいくと、なぜか『家庭の医学』でも読んでるかのような、病気の症状の解説が総花的に展開されていく。たしかに(家庭の医学を読むのと同じように)参考にはなるんだけどなんなんだ。こういう症状のときはこれを疑ってこういう医者に行きなさいとか、名医を探す方法はこうとか書いてるのは、「一人ひとりの努力で出来ること」ってのの内容なんだろうけど、なんだかピントがずれてないか?この部分だけごっそり余分な気がするんだけどな(たしかに読むほうにとっては参考にはなるから無駄ではないけどさ)。

コメント