第二次世界大戦中、ドイツ軍に侵略されたセルビアの首都ベオグラードに住む武器商人のマルコは、レジスタンス活動を行うために市民を率いて地下に潜伏し、そこで武器を製造させて巨万の富を築きあげる。そして大戦が終結した後も、彼は市民にそのことを告げず、せっせと武器を作らせ続けていく…。


これは、失われた祖国ユーゴスラヴィアに対する壮大な鎮魂歌であるな。初手からもう訳がわからねえ、リアリズムとは対極にあるストーリー、誇張された演技、演出。これは現代のドンキホーテですか。ストーリーも映像も半ばファンタジーであるのに、見るものにはやたらリアルな戦争の感触だけが残り、いろんな解釈を求めてやまない。

ネット友人に勧められて見たのだが、何の前知識もなく見たので最初は面食らった。しかし、一度通して見るともう一度見てみたくなるな(疲れそうだけど)。見たあとネットで調べるともうほんと絶賛の嵐。面白いけどエンターテイメントとしてはどうかと思うがな(だからエンターテイメントじゃないって)。なんだか、どろどろとした、逝き場を求めて彷徨う魂の、低く、低く唸るような叫びを聞かされたような気分だよ。

コメント