「英霊論」「犬死に論」を超えるために!
7000名に及ぶ特攻戦没者。長い間、政治的なバイアスがかかり、彼らの真意は伝えられなかった。昭和史研究の第一人者が、彼らの真意は伝えられなかった。昭和史研究の第一人者が、遺書・日記を新しい視点から読み解く。


保坂正康を読むのは2冊目、著者に感じるのはどちらにも偏らないバランス感覚のよさと真摯な姿勢であるな、好感が持てる。著者は特攻隊員の遺稿を読むといつも涙が止まらないと告白する、しかし、涙による美化では「特攻」について感情の領域での判断になりかねないと、その気持ちを抑えながら論を進めていく。

著者は、特攻作戦を考え出し指揮した軍事指導者や送り出した教官を断罪する。戦後、この悲劇を産んだ責任はどこにあったのかきちんと決着が付いていない。先ずはそこからはじめるべきであると。「特攻作戦」について、いままでの「英霊論」や「犬死に論」ではなくさらに一歩深く踏み込んだ考察が得られる好著でした。

続いて、同じ著者の『あの戦争は何だったのか』にいってみます。

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