戦後政治史を政治家の暴言から検証し、ここ数年の政治の変容を明らかにしようとした本。なかなか面白かったです。

著者は、政治家の暴言を(1)歴史解釈にふれる発言(2)女性蔑視、あるいは女性に対する性差別発言(3)倫理観にふれる発言(4)事実に反する虚偽の発言(5)無知丸出しの発言(6)イデオロギー対立からくる罵倒発言の6つに分類する。そして、戦後の社会の言論を、オモテの言論(平和憲法擁護、大日本帝国の思想・理念の批判etc)とウラの言論(大東亜戦争は民族解放戦争・自衛戦争だったetc)に分け、戦後政治家の暴言を分析していく。

戦後の政治化の暴言を詳細に見ていくと、暴言の質が現在に近づくにつれ配慮の無いどうしようもないものになっていっているのがよく分かる。とくに、(本音であるところの)ウラの言説を垂れ流してしまう政治家の最近多いこと。ここ数年の政治家の言説が、政治的無関心を背景に、いかにいいたい放題になっているか、なんだかうすら寒いものを感じるな。

著者の、「戦後の議会政治にあって、最大の失言を行ったのは実は、小泉純一郎首相ではないだろうか。」という意見にわしも賛同する。彼は、何を言っても支持率が下がらないので、自分の言説が国民を代表していると思ってしまってるんじゃないのか(実際に代表してたらそれはそれで鬱だが)、ちょっと冷静にわれわれも考えたほうがいいんじゃないのかと改めて思わせられた本でした。

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