1970年、列車は当時最高のロック・アーティストたちを乗せてカナダを横断した。ジャニス・ジョプリンを筆頭にグレイトフル・デッド、ザ・バンド、バディ・ガイ、フライング・ブリトー・ブラザーズなど、70年代を代表する豪華な顔ぶれだ。列車でツアーするこのコンサートは“フェスティバル・エクスプレス”と名付けられ、今なおロック史の中で伝説となっている。にもかかわらず、その存在は今まであまり知られていなかった。

ミュージシャンやスタッフは特別にカスタムメイドされた列車に乗せられ、共に寝起きし、リハーサルを行ったりしながら、運ばれて行く先々で大規模なコンサートを開いた。そしてその5日間に及ぶツアーの一部始終は、公開を目的にフィルムに収められていたのだ。ミュージシャンたちの初出となるライヴ・パフォーマンスはもちろんのこと、列車内での様々なセッション風景など、他では決して見られない映像が撮影されていた。ところが、75時間にも及ぶ貴重なフィルムは、消息を絶ってしまう…。その後、伝説のフィルムとしてその存在がささやかれていたが、95年にカナダ国立図書館(カナディアン・ナショナル・アーカイブス)で保管されていたフィルムが奇跡的に無傷で見つかったのである。それからさらに10年もの歳月を経て、ついにロックの歴史的事件は映画化された。

アーティストたちの伝説的なライヴ映像や列車内でのセッション風景は、単なる音楽ドキュメンタリーというカテゴリーを超越し、彼らが放射する熱気そのものをスクリーンに焼き付ける。
“奇跡のロック・フィルム”がいよいよ日本上陸!
と、イントロダクションをそのまま引用してみたが、わしの目的はジャニス・ジョップリンのみ、あとはまあどうでもいい、なんだか列車に乗って各地を回ったロックフェスがあったってことだ。

ジャニスのステージ映像は後半に二回(少ねえ!)。しかし、しかしだ、その存在感はもう圧倒的。「クライ・ベイビー」のイントロが流れボーカルが入ったところでもう鳥肌が立ちました。ほんとに他のバンドとは一線を画してますな。死んでからこんなにたって、新たなジャニスの映像が見られただけでも幸せでした。

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