わしは、消費者団体とは関係ないし、牛肉の流通業者でもないしましてや生産者でもない。でも、BSE関係の本はついつい買ってしまう狂牛病マニアである(笑)。わしのBSE問題に関する意見は簡単だ。今の世の中リスクのない食品なんぞほとんどない、アメリカ牛だって最低限の検査体制さえ組んでいれば疫学的にみたリスクなんぞほとんどないに等しいんだから早く輸入しろ、わしは気にせず食うから。BSEがどうしても怖い人は、(BSEの権威である)プルシナー博士のように牛肉を一切口にしないようにすればいいんじゃないか、実際全頭検査したってリスクはなくならないんだから。

で、本書であるが、立場的には中間というか、バランスの取れた位置というか、無難な線でまとまっていると思います。BSEにとどまらず広く「牛肉と政治」という視点からハンナン事件のあらましを捉えているところはなかなか面白かったです。また週刊現代ででていた、ニュージャージー州の競馬場にからむヤコブ病の異常発生の件を取り上げているのも面白い(内容としてふさわしいのかは疑問だけど)。

筆者は日本の科学者に対して、全頭検査で狂牛病パニックが収まったときには、全頭検査はあまり意味がないとか検査でも全部のBSEを発見できるとは限らないなんていわなかったのに、アメリカが日本に圧力かけだしたら言い出して卑怯だという批判をしている。しかし、それは科学者のせいではないということははっきりいえる。狂牛病パニックは明らかに政治的な失策であり、その当時科学者が発言してないように見えるのは、マスコミが取り上げなかったから、あるいは取り上げ方が中途半端であったからである。その部分に関してだけは著者に反論したい。

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