ライファーズ−終身刑を超えて−
2005年1月8日 映画受刑者が300万人を超える米国。そこには10万人あまりのLifers(終身刑、もしくは無期刑受刑者)たちが存在する。彼らは殺人や強盗などの深刻な犯罪を犯し、「更生不可能」というレッテルをはられた人びとであり、社会から忘れられた存在である。
そんなLifersが参加している犯罪者の更生プログラム『AMITY(アミティ)』がある。カリフォルニア州・サンディエゴ郊外にあるRJドノバン刑務所。再犯率が他の刑務所と比べて3分の1も低いこのプログラムでは、約200人の参加受刑者たちが「自分がなぜ犯罪を犯すようになったのか」の問いに徹底的に向きあう。そして、それぞれが罪の償いを模索し、「どのような未来を生きたいか」というビジョンをつくっていく。この中で10名のLifersたちが受刑者の手本(ロールモデル)となってきた。
殺人罪や強盗罪などで服役期間が30年になるLifersの一人、レイエス・オロスコがいう。
「釈放されるかどうかが問題なのではなくて、受刑者である私たちは、自分の中に作り上げた『牢獄』から解き放たれる必要がある。たとえ刑務所から出られなくとも、変わるチャンスが与えられれば、今までの生き方にしがみつく必要なんてなくなる。それに、いつの日か出られるかもしれないという希望があれば、頑張り通せると思う」
これは、ロールモデルとなったレイエス自身が、他のLifersから教えられたことでもある。自らの罪をどう償い、そしてどう生き直すのかを、彼自身が問いながら、他の受刑者たちにも伝えようとしている。
http://www.cain-j.org/Lifers/index_J.html
いやあ、東京は町田までこの映画観にいってきました。わざわざいったのはめったに上演されないってコトと、坂上香のファンだから(じつはイベントに監督本人がくるのかと直前まで思ってた)。
坂上香は、NHKのディレクター時代から米国における犯罪者更正の取り組みについてドキュメンタリーを撮ったり本を書いたりしてた人。わしは『癒しと和解への旅 犯罪被害者と死刑囚の家族たち』という著書で彼女を知り、以後ドキュメンタリーをチェックしたり、雑誌に書いてるのを見かけると読むようにしたりしていた。考え方や問題意識が共感できるので大変に好きな人です。
映画は期待通りでした。内容は、上記のアミティという施設の取り組みとロールモデルになっているライファーズへのインタビューで構成されている。映画は、彼らがなぜ犯罪に走ってしまったのか、そしてまたどのようにして更正への道を歩んでいるのかを淡々と映し出していく。
犯罪に対する社会の本当に有効な取り組みとはなんなのか?単純に刑罰を重くするだけでいいのか?省みて、われわれ日本での厳罰化の流れには、加害者更正の視点がすっぽりと抜け落ちているのではないだろうか?等々、いろいろと考えさせられた映画でした。
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